コーポレート・ガバナンスと議決権行使の原則/Principles of Ownership

目次

A.はじめに

フィデリティ投信では、株式会社の最終的な所有者は株主であり、全株主にとって最善の利益になるよう企業の長期的成長を実現することが取締役会の責務であると考えます。そのためには、株主価値を最大化することに加えて、従業員、顧客、取引業者との有益な関係を育み、企業の評判を健全に維持し、さらに地域社会や環境への影響も考える必要があります。高い水準の企業責任を果たすことは事業にとって有意義であり、それにより株主への投資リターンを確保することが可能になる、と考えます。当社は企業の経営陣、取締役会、従業員に対して高い倫理基準を遵守する事を求め、投資リスクやリターンに重要な影響を及ぼすと思われる、社会、環境及び倫理に関する問題を投資プロセスの中で考慮します。

B.受託管理責任

当社は、ポートフォリオ運用に係る投資判断、株主総会における議決権行使、経営陣との継続的対話を通じた、アクティブな投資方針を推進しています。そのため、様々な企業へ定期的に訪問し、特定の業績結果や直近の企業動向について話し合うことや、企業見学やその他の調査活動を通じて理解を深めるように努めています。経営陣との対話を継続的に行うことは当社の投資プロセスにおいて非常に重要であり、また各社経営陣には、市場関係者に事業動向についての最新情報の迅速な開示をお願いしています。

当社の基本姿勢として、投資先企業の経営陣を原則支持し、経営陣との対話は基本的に企業調査を目的としていますが、企業戦略やコーポレート・ガバナンスに関してフィデリティ独自の見解も持つこともあり、場合によっては当社の見解が投資先経営陣と異なることも起こりえます。その際、会社のアドバイザーや取締役と意見交換をする場合もあります。当社の見解が投資先経営陣と異なる場合には、経営方針について提言をする可能性もありますが、それらは極めて例外であり、原則として発行体の事業活動に重大な影響を及ぼすこと、または重要提案行為をする意図はありません。当社が特段の事情があるとみなして提言をすることを決定した場合、実際にどのような行動を起こすかは、経営陣との対話を通じた改善案の策定を促すことや、または株式売却を行うことを各社の個別状況を踏まえた上で検討します。原則として、経営陣に働きかけることにより期待される想定利益(当社ファンドの受益者及び顧客へのリターン)が想定費用を上回るときには、経営方針の変更を促すよう働きかけます。

なお、買収案件等において考慮すべき投資先企業が複数存在する場合や、利益相反が生じる可能性がある場合、当社は常にそれぞれのポートフォリオにとって最善の利益になるように行動します。

これらの原則を施行する役割は、当社のコーポレート・ガバナンス・グループが担っています。コーポレート・ガバナンス・グループをディーリング業務やポートフォリオ管理業務とは別に稼働させることで、ポートフォリオ・マネジャーの日常業務に影響を与えることなく、投資先企業と重要事項について話し合うことができます。このように当社においては、投資先企業と率直で充実した対話が可能となる体制が構築されていることから、投資先企業が大規模な戦略的施策等について検討を進めている場合は、早い段階で話し合うことを推奨します。また、当社が投資先企業に対し経営介入の必要性があると考える場合にはコーポレート・ガバナンス・グループを通じて行います。

C.議決権行使方針

当社の保有する株式の議決権は、当社の株主議決権行使ガイドラインに沿って行使されますが、対象企業固有の状況も考慮に入れることがあります。さらに議決権行使ガイドライン自体も定期的に見直されます。

また、投資先企業の経営陣を原則支持するという当社の投資哲学に従って議決権を通常行使しますが、特定の提案に対しては反対票を投ずる場合もあります。例えば当社は、公開買付防止提案や株主権利が毀損される恐れのある議案に対しては反対します。他にも株主から取締役会への権限委譲を求める議案には原則反対する立場を取っており、また株主権利が制限される、あるいは格差のある議決権の付いた株式の発行は支持しません。

そのような場合、当社が反対する理由を経営陣に理解してもらうように努めます。また、通常は総会へ出席することはありませんが、場合によっては出席して議決権を行使したり、自社の立場を説明する声明を出す事もあります。さらに、十分な情報が得られない場合には例外的に棄権を決定することもあります。

株主総会において株主と企業側とが対峙することは基本的に好ましくないと考えます。株主総会に決議案を提出する前には、事前に主要株主と相談するよう取締役会に推奨します。

D.投資家へのリターン

当社は、予想リスク調整後利益が対象企業の資本コストを上回る場合には、企業に対し、適切な管理と資本構造を維持しつつ投資を行うよう促します。また、資本再投資から得られる潜在的利益を、配当支払いや自社株買戻しを行う場合と比較した上で、株主にとって最適な還元方法を決定すべきであると考えます。配当は企業に投資することで得られる、株主にとって不可欠な報酬であると考えます。そこで、企業が高い成長率や高い内部収益率を維持している場合でも、企業のキャッシュ・フローの妥当性を実証するためにも配当支給は有益であると考えます。

企業が資本コストを上回るリターンを挙げる見込みがない場合には、配当支給額を増やすか、あるいは自社株買戻しによる株主への資金還元を望みます。このように株主に返還することは、資金を有効活用する戦略的ビジョンが欠如しているということではなく、その時点においての最善策だと考えます。また、適切な資金運用方針を決定する際には企業と株主双方にとっての課税負担の影響度も考慮に入れるべきであると考えます。

E.取締役報酬方針

企業の取締役会が最良な経営人材を雇用し、確保する能力を有することは株主にとって有益です。こうした人材の報酬体系は株主利益と一致し、対象者の貢献に見合ったものでなければなりません。当社は適切な長期報奨制度への参加による経営陣の自社株式所有を促します。報奨制度の実施によって起こりうる株主利益の希薄化は、制度対象者の貢献とバランスの取れたものでなくてはなりません。また、こうした制度の実施に当たっては株主による承認と決定を行う必要があります。報奨制度の予想費用と得られるメリットについて株主が十分な情報を得た上で決定しうるためにも、必要関連情報は開示されなければなりません。

当社は報酬と報奨制度について事例毎に評価を行いますが、基本的に以下のような提案には反対します:
  • 1.対象企業が利益を挙げていないかまたはスキャンダルその他違法行為に関与している場合における経営陣、取締役、監査役への奨励報償
  • 2.希薄化が 10%を超える恐れのある株式オプション制度
  • 3.対象企業に貢献する能力に疑問がもたれる元従業員や、非従業員への株式オプション付与や退職金提供

また、こうしたオプションの付与価格は付与日時点における公正市場価値の100%以上でなければなりません。

F.株式公開買付(TOB)

前述のとおり、当社は優良な経営陣を基本的に支持しますが、経営陣が株主リターンへの妥当な期待に沿った業績を継続的に達成していない場合や、敵対的買付価格の水準が対象企業の将来性を十分に反映しているものであると判断される場合には、敵対的買付を支持する場合があります。しかし当社は公開買付の対応を決定する前にあらかじめ双方の主張に公正に耳を傾けるようにします。また基本的に買付に応じることを確約するような誓約書には署名しません。

企業買収という行為には極めて高いリスクが存在するものの、高い成果を得る可能性のある経営施策と考えるため、買収を試みる場合は、対象企業が買収による事業面や財務面への影響について、徹底的に検討を行うことを期待します。当社が大株主である場合や、買収案件が当社の投資に重要な影響を与える場合は、初期段階で当社と直接協議することを推奨します。

現経営陣による自社買収(MBO)は株主に価値を提供する効果的な手段である場合もありますが、同時に重大な利益相反の危険性もあります。そのため社外取締役や任命された外部者が初期段階から全面的に関与し、できる限り透明性の高い、全株主に対して公正なMBOを実施させることを当社は期待します。特に、資金面での支援者に対し独占的権利を付与する前に、可能であれば資金支援者以外の第三者にも参加を促し、競争原理をとりいれたMBO提案の検証を行うことを取締役会に推奨します。また当社が大株主である場合、早い段階で当社と直接協議することを望みます。

なお、既存株主の議決権と株式価値に不利な影響を及ぼす公開買付防衛策は、当社のコーポレート・ガバナンス基準に抵触するため容認できません。

G.企業の社会的責任

企業の社会的責任(CSR)を意識した経営は事業にとって有意義であり、その結果より高い投資リターンを確保することが可能になる、と当社は考えます。そのため、当社の投資過程の中で、投資リスクまたはリターンに重要な影響を及ぼすと思われる社会、環境、及び倫理的要因も考慮に入れます。また長期的な収益強化につながりうる社会、環境及び倫理に関するベスト・プラクティスの採用を奨励します。

当社は社会、環境や倫理面に関する企業実績が劣っていることのみを理由に投資対象外とはしておらず、むしろ対象企業の経営陣とこうした問題について積極的に対話に取り組む方針を採用しています。こうした対話で収集した情報を自社の投資プロセスに役立てるとともに、対象企業の経営陣の姿勢に変化を促進します。このような協調的対話が対象企業のCSRへの姿勢を改善するために最も効果的であると当社は考えます。

2014年8月
フィデリティ投信株式会社

Contents

A. Introduction

Shareholders are the ultimate owners of companies, and the basic goal of a board of directors is to ensure the long term success of companies in the collective best interests of shareholders. In addition to maximising shareholder wealth, directors should also have regard to the fostering of fruitful relationships with employees, customers and suppliers, the maintenance of a sound business reputation and consideration of the company’s impact on the community and the environment. We believe that high standards of corporate responsibility make good business sense and have the potential to protect and enhance investment returns. We will hold companies’ management, board and employees to high ethical standards. Consequently, our investment process takes social, environmental and ethical issues into account when, in our view, these have a material impact on either investment risk or return.

B. Stewardship

FIL Investments (Japan) Limited (FIJ) pursues an active investment policy through portfolio management decisions, voting on resolutions at general meetings of shareholders and maintaining a continuing dialogue with management. This involves holding regular meetings with companies to discuss specific results or events as well as more informal dialogue including site visits and other research initiatives. Regular access to executive management is a key part of FIJ’s investment process and we encourage management to provide regular business updates to the market in order to facilitate this dialogue as much as possible.

As a general policy, we are supportive of the management of companies in which we invest and our discussions with the management are for the purpose of investment research only. We will nonetheless form our own views on the strategy and governance of a company and on occasion our views will differ from those of management. Where there is disagreement we may choose to exchange opinions with the company's advisors and/or directors. Where we disagree with company management we may also consider advocating change; however such advocacy will occur only in rare circumstances and as a matter of course we do not intend to exert influence on or make material proposals to management of companies. On the rare occasion where we choose to promote change, our specific action will be determined on a case by case basis and we will weigh the relative merit of intervention against a sale of the shares. Typically we will choose to intervene to advocate change when the expected benefits of intervention (through increased returns to our investors) outweigh the anticipated cost.

In instances where our clients own shares in more than one party to a transaction or where there are potential conflicts of interest, we will always act in the best interests of the specific funds/clients holding the investment in question.

FIJ’s corporate governance group provides a focused platform for upholding these Principles. The corporate governance group operates separately from the dealing and fund management activities behind an effective Chinese Wall and is able to discuss proposals with companies without compromising the fund managers’ ability to deal. This facilitates a full and open dialogue with the companies in which we are invested and we encourage companies to consult with us at an early stage when they are contemplating major strategic or corporate initiatives. The corporate governance group also provides a focus for intervention if that is deemed necessary.

C. Voting Policy

FIJ has a set of proxy voting guidelines which generally direct our voting behaviour although we do also take account of the particular circumstances at the company concerned. Our voting guidelines are reviewed and updated on a regular basis.

Subject to these guidelines we usually vote in favour of company proposals reflecting our broadly supportive investment philosophy, although this does not preclude us from voting against management on specific proposals.

For example, we oppose anti-takeover proposals as well as any moves which adversely affect the voting rights of existing shareholders. We generally oppose the transfer of authority from shareholders to directors and we do not favour shares with restricted or differential voting rights.

In instances where we vote against a board's recommendation we seek to ensure that management understand the reasons for our opposition and whilst it is not our usual policy to attend General Meetings we will on occasion vote in person and make a statement explaining our position. Exceptionally, we may also decide to abstain where we have insufficient information.

In our view confrontation with companies at General Meetings represents a failure of corporate governance. We encourage boards to consult with shareholders in advance rather than risk putting forward resolutions at General Meetings which may be voted down.

D. Returns to Investors

In circumstances where expected risk adjusted returns exceed a company's cost of capital we encourage companies to invest subject to maintaining appropriate controls and capital structure. The potential returns from investment in the business should also be tested against dividends or share re-purchases to determine the optimum return for shareholders. We regard dividends as an integral part of shareholders’ reward for investing in a business and we therefore also encourage the payment of a dividend as a validation of the cash flow of the business, even where companies are sustaining high growth rates and/or high internal rates of return on projects.

When a company cannot find projects generating a return which exceeds the cost of capital we favour a capital distribution either by enhanced dividend payments or by share re-purchase. In our view this does not imply any lack of strategic vision in utilising available capital, but rather reflects what is best for shareholders at a given moment in time. The taxation position of both the company and its shareholders should be taken into account when determining the precise course of action in this regard.

E. Remuneration Policy

It is in the interest of shareholders that boards should have the ability to attract and retain the highest quality management team and board. Compensation should be aligned with the interests of the shareholders and proportionate to the contribution of the individuals concerned. We encourage management ownership of shares through participation in appropriate long term incentive schemes. Incentive schemes should be balanced between potential contribution and dilution of shareholders’ interests. Schemes should be approved and voted on by shareholders. All relevant information should be disclosed to enable shareholders to reach an informed decision on the likely costs and benefits of the incentive scheme.

FIJ evaluates compensation and incentive schemes on a case-by-case basis but we generally vote against the following proposals.
  • 1. Incentive compensation to management, directors, and statutory auditors when the company has been unprofitable or involved in a scandal or other malfeasance.
  • 2. Stock option plans where dilution exceeds 10%.
  • 3. Stock option or retirement grants to former or non-employees whose ability to contribute to the company is questionable.

Additionally, the offering price of the options should not be less than 100% of fair market value at the date of the grant.

F. Tender Offer Bids(TOB)

As stated above, our general policy is to support incumbent management in good standing but we reserve the right to support hostile bids when the management has either consistently failed to achieve reasonable expectations of shareholder return or where, in our judgment, the level of a bid fully recognises the future prospects of the company in question. We will always try to give a fair hearing to the arguments of both sides before determining a course of action. As a general rule we will not sign irrevocable undertakings to accept an offer.

We regard corporate acquisitions as amongst the most risky but potentially rewarding steps that a management can take and in these instances we will expect companies to have investigated both the operational and financial consequences of any acquisition in exhaustive detail. Where we are a significant shareholder and where the transaction is material in the context of our investment, we encourage direct consultation at an early stage.

Management buy-outs can be an effective means of delivering value to shareholders but they also inherently give rise to a serious conflicts of interest concern. In these instances we look to the independent directors on a board to take control of the process at an early stage and to ensure that it is as transparent and non-exclusive as possible. Specifically, we recommend a competitive process before any particular financial backer is granted exclusivity, and where possible, we encourage boards to validate any proposal by seeking competing offers from third parties. In instances where we are a significant shareholder we once again encourage a direct consultation with us at an early stage.

Takeover defences that adversely affect the voting rights and the share value of existing shareholders are unacceptable to our corporate governance standards.

G. Corporate Social Responsibility

FIJ believes that high standards of corporate social responsibility (“CSR”) will generally make good business sense and have the potential to protect and enhance investment returns. Consequently, our investment process takes social, environmental and ethical issues into account when, in our view, these have a material impact on either investment risk or return. Social, environmental and ethical best practice should be encouraged provided it enhances long term success financial return.

We do not screen out companies from our investment universe purely on the grounds of poor social, environmental or ethical performance, but rather we adopt a positive engagement approach whereby we discuss these issues with the management of the companies in which we invest on behalf of our clients. We use the information gathered during these meetings both to apply our investment process and also to encourage company management to improve procedures and attitudes. We strongly believe that this is the most effective way to improve the attitude of business towards CSR.

August 2014
FIL Investments (Japan) Limited