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2016/11/10

第2回:英国型で日本の資産構成を変える

第2回:英国型で日本の資産構成を変える

◇日本よりも有価証券の構成比が低い英国

日本は個人金融資産に占める有価証券の比率が低いと指摘され、それが「貯蓄から投資へ」のキャッチフレーズの原点でした。ただ、1990年頃の有価証券の比率は、日本が20.3%で米国15.5%、英国17.7%を上回っていました。その後、日本の比率は低下し、米国は上昇傾向をたどっていますが、英国は少し違った動きをしました。英国の比率は2000年に向けて上昇しましたがその後は低下傾向を強め、2014年のデータでは日本の16.1%よりもかなり低い10.8%に落ち込んでいます。

英国は日本以上に貯蓄偏重なのでしょうか。実はまったく違います。下のグラフをみてください。こちらは年金準備金や保険準備金経由で有価証券に投資している分、すなわち間接的に保有している有価証券も含めた、個人金融資産に占める有価証券の比率です。これでみると英国は米国に次ぐ4割弱の水準、これに対して日本は2割に留まっています。

◇年金経由の有価証券投資が主流の英国

これは英国では保険や年金経由で有価証券を保有している比率が高いことを示しています。税制優遇が充実していることで、例えば退職者にはAnnuityが人気ですし、現役世代には企業年金も使われています。企業年金の引き出し時期には毎年一定金額を引き出す保険商品であるAnnuityに投資すると、引き出し時の税金が繰り延べされることで人気がありました。

充実していた企業年金も景気の後退でジリ貧状態でしたが、2012年からは確定拠出年金(DC)を中心に全企業での導入と従業員への自動加入が始まり増加に転じました。掛金率に最低水準が導入されているうえ、拠出額が所得控除されることで従業員の投資インセンティブは高く、デフォルトファンドの導入で有価証券投資の比率も高くなります。

その他、日本のNISA(少額投資非課税制度)のもととなったISA(個人貯蓄勘定)でも税制優遇があり、直接有価証券を保有する上での税制メリットも用意されています。

◇「所得から投資へ」を動かす税制優遇という「枠組みの整備」

個人金融資産を成長させるという意味では有価証券の比率を上げるのに、直接保有でも間接保有でも差はありません。むしろ、税制優遇などの枠組みがある方が個人の「所得から投資へ」の流れを加速することができるようです。

本来はそういう意味で“追加資金の向け先”が「貯蓄から投資へ」だったはずです。「所得から貯蓄に向ける資金を減らして、投資に向かわせる」ことを狙えば、自動的に現金・預金の比率は下がるはずだと考えるべきだったのです。その点からみると、本来のキャッチフレーズは「所得から(貯蓄ではなく)投資へ」だったのです。

日本も「投資をするべきだ」と言うお題目だけではなく、国民が投資をしやすい枠組みを整備すべきだと言えます。その意味で、動き始めたNISAの改革や個人型DCの整備拡充は、さらに急ぐ必要のあるところです。

日米英の個人金融資産に占める有価証券比率の推移(直接・間接保有を含む)

日米英の個人金融資産に占める有価証券比率の推移(直接・間接保有を含む)

(注)保険・年金準備金が保有する株式・投資信託を単純に合計した水準。そのため保険・年金準備金のうち個人金融資産の反映でない部分も一部含まれる可能性がある。データは直近で取得可能な期間を収載しています。米国1965-2014年、英国1987-2014年、日本1979-2014年。

(出所) 日米英のFlow of Fundsよりフィデリティ退職・投資教育研究所作成

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